4月5日に中国人民銀行(人民銀:中央銀行)は、本格的な金融引締めに転じた昨年10月以降で4回目となる利上げに踏み切った。今回の利上げで期間1年物の貸出基準金利と預金金利は6日から実施され、25bpずつ引き上げて貸出金利は6.31%、預金金利は3.25%となる。ほぼ2カ月に一度の利上げは、インフレ抑制と資産バブル阻止に向けた中国当局の強い危機感を示している。現在、中国政府は金融政策のほかに、補助金や食糧備蓄の放出、そして価格統制まで言及するなどインフレ抑制に努めているが、インフレ懸念は収まりを見せていない。
中国の2月の消費者物価指数(CPI)では、前年比4.9%の上昇となった。伸び率は中国政府が今年の目標としている4%台を大幅に上回る状況が続いている。中国のCPIは毎月5日前後に前月の数字の集計がほぼ終わることから、人民銀が3月のCPIの数字を確認したうえで利上げを決定した可能性が高く、市場での見方は3月のCPI前年比上昇率が危険水域とされる5%を突破したのではとの予想が多い。4月15日(日本時間午前11時)発表の3月CPI前年比では5.2%の予想となっている。一部では3月のインフレ指標を発表する前に利上げを実施したことは「極めて意味がある」と評価する声もある。
インフレ率上昇の背景には、農産品以外の工業製品の価格の上昇がある。中東の混乱や東日本大震災の影響で原油価格が高騰、また賃上げによる生産コストの上昇で企業は利益確保のために製品の値上げを余儀なくされている。これまで中国の物価高を引っ張ってきた農産品の価格は、比較的落ち着きつつあるようだ。温家宝首相は先月インフレについて、「いったん解き放たれると、おりの中に戻すのが極めて難しい」として、社会の安定を脅かしかねないと発言している。
中国人民元を高く誘導すれば物価抑制につながる可能性があるが、経済成長(国内輸出産業の保護)のため、中国人民元を低めに誘導している(人民元の上昇スピードを遅らせている)。また、これまで行われた主要国の緩和策や、経済成長を背景としたホットマネーの流入により資産バブルが増長し、インフレとの戦いに苦慮しているのである。
どちらにしても、1年物預金金利は利上げ後もインフレ率を下回っているため、資金を預金からその他の資産に移す動きが活発化し、さらに不動産市場などバブルの可能性を秘めている。今後も中国当局は、インフレとの戦いに悪戦苦闘することになる。
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